自己破産で損害賠償責任が免除されるケース・されないケースとは

「自己破産をすれば借金をゼロにできる」「すべてをリセットできる」と思っている方も多いのではないでしょうか。実は自己破産によっても免除されないケースが存在しており、損害賠償責任に関しても場合により支払い義務が残ってしまうことがあります。

自己破産による免除(免責)の意味

自己破産は、債務の弁済ができない状況にある人が裁判所に申し立てを行い、清算手続きを経て、支払い義務をなくしてもらう制度です。

大切なのは、単に破産手続きが始まるだけではなく、その後に「免責許可」という決定を受けて初めて債務の支払い義務が消滅するという点です。
この免責許可決定が下されると、原則として借金、クレジットカードの債務、そして損害賠償責任も含め、広く債務の支払い義務がなくなります。

しかし、法律で特に指定された「非免責債権」と呼ばれる特定の債権については、免責許可決定が出ても支払い義務が残り続けます。特定の債務があると自己破産ができなくなるのではなく、自己破産をしても残る債務があるということです。

免責されない損害賠償責任とは

自己破産を行っても支払い義務が残ってしまう損害賠償責任があります。特に悪質な行為によって損害が発生したケースなど、限定的ですが以下のような状況に当てはまるなら要注意です。

意図的に人を傷つけて損害を発生させた

他人に対して明確な害意を持って損害を加えた場合だと、その損害賠償は自己破産の手続きを経ても免除されません。

たとえば「個人的な恨みから相手を殴ってケガをさせた」、あるいは「相手を欺いてお金をだまし取った」など、明らかに相手の身体や財産などを傷つける目的で行った、故意による犯罪行為などです。

ポイントとなるのは「悪意」の存在です。偶発的な事故により発生したのではなく、故意で、積極的に損害を生じさせたという背景があると免除は難しくなってきます。

飲酒運転など重大な過失で人を傷つけた

飲酒運転や無免許運転といった、非常に危険で無責任な行為により人を死傷させたとき、そこから生じた損害賠償責任は自己破産でも免責されない可能性があります。

極めて悪質な不注意は単なる過失とは区別され「重大な過失」「重過失」などと呼ばれ、さらに人の生命や身体を害したのであれば、被害者保護を優先するため免責されない扱いになっています。

なお、交通事故の過失に関しては、一般的に「脇見運転」や「時速15~30キロ程度の速度違反」であれば重大な過失とは評価されにくいです。
これに対し「飲酒運転」や「居眠り運転」「無免許運転」「時速30キロを超えるような速度違反」は重過失として評価されやすいです。ただし、必ず非免責債権と評価される分けではないことから、事前に弁護士とよく相談することが必要です。

免除される損害賠償責任

破産法のルール上、上記に該当しない多くのケースでは損害賠償責任も自己破産によって免除される可能性が高いです。

軽微な不注意が原因で生じた交通事故、軽度の速度違反に基づく賠償責任、履行不能による契約違反から生じた賠償責任など、法的な観点で特に悪質といえる場合を除いて基本的には自己破産で対処できます。

なお、不倫・浮気による賠償責任(慰謝料の支払い義務)については、積極的な害意がないケースでは免責される可能性が高いですが、事案によっては非免責債権と判断される場合もあります。

判断が難しいケースもある

損害賠償責任に対する免責許可の判断は、簡単な場合ばかりではありません。

悪意の有無で評価がわかれるケースもあれば、重過失かどうかで評価がわかれるケースもあります。債務者自身が「この支払い義務は免除されるだろう」と考えていても、免除されないこともあるのでご注意ください。

また、損害賠償責任そのものが免責され得る性質のものであっても、債務者自身に「免責不許可事由」があるときは免責許可が下りない可能性があります。

免責不許可事由とは破産法で列挙されている財産隠しや帳簿隠滅、ギャンブル・浪費など自己破産の原因となった事由を指し、「免責を認めるのが相当ではない」といえる事情があるときは、その他一般的な債務含め免除されないケースがあることも知っておきましょう。
※免責不許可事由に該当しても、裁判所の裁量により免責を許可することもある。

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