自己破産は裁判所を通して借金の支払い義務を免除してもらう手続です。ほかの債務整理手続とは異なり残債務をゼロにできる可能性があるなど、大きく異なる特徴を持ちます。
当記事ではメリット・デメリットという形で自己破産の特徴を紹介するとともに、一般的な手続の流れについても解説しています。
自己破産のメリット
自己破産をすべきかどうか検討中の方は、破産手続を選択するとどうなるのかを確認しておきましょう。
メリットは次のようにまとめることができます。
| 自己破産のメリット | 詳細 |
| 債務の弁済義務が免除される | 免責許可決定が下りることで、税金や養育費の支払い義務など一部の責任を除き、ほぼすべての借金の返済義務をなくすことができる。任意整理や個人再生では得られない、自己破産ならではの大きなメリット。 |
| 債権者からの取り立ての心配がなくなる | 弁護士が破産について受任した旨を通知してからは、通常、債権者からの督促、取り立てが中止される。これにより精神的な負担も軽減できる。 |
| 給与の差し押さえが止まる | 給料や預金の差し押さえを受けているときでも、破産手続開始決定が出されてからは、差し押さえが中止されて新たな強制執行を止めることができる。これにより生活資金の確保をしやすくなり、勤務先等に借金問題が知られるリスクも下げられる。 |
| 最低限の生活資金を残して再スタートを切れる | 破産後もすべての財産を失うわけではない。生活に最低限必要な家財道具や生活費などは手元に残せる。そのうえで経済的なリセットをし、新たな生活を始められる。 |
自己破産のデメリット
良い面のみを見るのではなく、自己破産をすることのデメリットも理解したうえで判断をしなくてはなりません。
主なデメリットを以下に整理します。
| 自己破産のデメリット | 詳細 |
| ブラックリストに載る | 信用情報機関の事故情報、いわゆる「ブラックリスト」に登録されてしまう。ほかの債務整理も同様に登録されてしまうが、自己破産の場合は債権者に対する影響も大きいため、その分今後のクレジットカードの作成や借入などがしばらく困難になる。 |
| 多くの財産を手放すことになる | 自己破産では、換価価値のある資産、たとえば20万円以上の価値を持つ財産、解約返戻金のある生命保険、退職金などは処分の対象となることがある。ただし、20万円以上の財産でも手元に残せるケースも多々ある。 |
| 手続のコストが大きい | 裁判所を通す必要があり手続内容も複雑であるため、弁護士に依頼をするのが一般的。また、清算すべき財産が多く残っているときは破産管財人が選任される。これら弁護士や破産管財人に対する報酬が発生し、その金額は債務の総額や債権者数に比例する傾向にある(少なくとも20万円程度、多ければ総額100万円を超えることもある)。 |
| 仕事が一時的に制限される | 自己破産の手続を始めることで宅地建物取引士の資格などに制限がかかるなど、仕事に支障をきたすおそれがある。資格のほか、法令または当事者間で定めた契約内容に従い、委任契約や請負契約などの契約が解除されることもある。ただし、資格制限等は自己破産の一連が終わると解除される。 |
| 借金の原因によっては免責許可が下りない | 誰でも必ず債務をなくせるわけではない。ギャンブルや浪費が原因で借金が増えた場合など、免責を不許可とする積極的な理由があるときは許可が下りないこともある。 |
以上の特徴を踏まえて、ご自身にとって自己破産の選択が適切かどうかを慎重に判断してください。
判断に悩むときは、債務整理の手続選択の段階から弁護士にご相談ください。
破産手続の流れ
個人のする自己破産では「破産手続」と「免責手続」の2つを進めていく必要がありますが、通常は破産手続の申立をすることで免責手続の申立もあったものとして扱ってもらえます。
そのためこの2つを分けて考える必要はないでしょう。
一方で、手続の流れには「同時廃止」と「管財事件」というパターンがあり、この違いは手続の複雑さやコスト、かかる時間などに大きな影響を及ぼすため債務者にとっても重大な問題といえます。
原則として管財事件、債権者に配当するだけの財産が残っていないときにはすぐに手続が終了する同時廃止となります(管財事件として進めたが途中で廃止となる「異時廃止」もある)。管財事件として進めるのが原則ではありますが、個人の場合は配当するだけの財産が残っていないケースも多いため、同時廃止となる例が多いのが実情です。
同時廃止の流れ
同時廃止とは、破産管財人が選任されずに、裁判所からの破産手続開始決定と同時に廃止(終了)となることを意味します。
換価処分して債権者に分配していくだけの財産がなく、債務の経緯にも問題がない場合に適用されることが多いです。
この場合、一般的には次のように手続が進行します。
- 弁護士への依頼
・・・債務整理に強い弁護士を探し、相談し、手続きを依頼する。 - 受任通知を債権者に送付
・・・依頼を受けた弁護士が債権者各所へ受任通知を送る。これにより督促等が止まる。 - 債権債務の調査と申立書の作成
・・・債権や債務の状況を弁護士が調査し、申立書やその他必要書類を揃えていく。 - 裁判所への申立
・・・申立書と添付書類を地方裁判所に提出。 - 裁判所での審査
・・・裁判所が申立内容を審査する。 - 破産手続開始決定と同時に廃止の決定
・・・裁判所により、破産開始と同時に廃止の決定がなされる。 - 免責審尋
・・・免責を許可すべきかどうかを判断するため、裁判官との面接が行われる。 - 免責許可決定
・・・問題がなければ免責が許可され、借金の返済義務が免除される。
なお、同時廃止であれば数ヶ月~半年程度で手続を終えられることが多いです。
管財事件の流れ
管財事件とは、裁判所から選任された破産管財人主導で債務者の財産を調査したり換価したり、債権者に配当をしたりする場合の破産手続を指します。
一定額以上の財産を債務者が持っている場合など、比較的複雑な事案で管財事件となる傾向にあります。
なお大枠の流れは同時廃止とも共通しますが、破産手続開始決定から免責許可までの手続内容が大きく異なります。
- 破産手続開始決定後、破産管財人が選任される
- 破産管財人に対する報酬としての意味合いを持つ、管財予納金(20万円以上)を納付する
- 破産管財人が債務者の財産を調査し、売却するなどして現金化される
- 債権者集会を開き、債権者に対して報告を行う
- 換価した財産から債権者へ配当を行う
その後、免責許可に向けての審尋などが行われます。管財事件では半年~1年以上かかることもあり、債権者集会への参加が必要になるなどもある。








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